スタッフの独立と離職の問題

本日は、経営者なら頭を抱えたくなる問題の1つである

『スタッフの独立(退職)』

について、お伝えしてまいります。

普通に毎日の施術を行っていたと思っていたのに、
ある日突然スタッフから「独立したいので辞めます」と言われた…

こういった経験がある、または
一度は聞いたことがある経営者の先生は多いのではないでしょうか。

確かに、スタッフに辞められるのは困りますよね。

それが、優秀なスタッフであればあるほど痛手になります。

しかし『治療家』という仕事は、
普通の会社員などに比べると元から独立志向が高いものです。

実際、このメルマガをお読みの先生ご自身もそうだったと思います。

やろうと思えばマンションの1室でも開業ができる仕事ですので、
元々一国一城の主を目指してこの業界に入ってくる人が多いのです。

生涯引退するまで1つの治療院で
スタッフとして働くというケースの方が少ないです。

とはいえ、心構えをしておかないと
治療院としても困るばかりで、下手な引き止めをしてしまうかもしれません。

これはどちらにとっても不幸なことです。
「スタッフの独立」をどう捉えるか日頃から、どう準備しておくか
独立するための卒業を応援するのか、しないのか。

大切なのは準備です。

治療院として普段から
「スタッフの独立(による退職)」をどう考え、どう準備しておくのか。

今回は、「独立志向スタッフ」の
活かし方と組織の作り方、について考えてみました。

【独立志向のスタッフの心理】

独立を志しているということは、
いつか治療院を辞めてしまうということですね。

治療院の貴重な戦力であり欠けてもらっては困る人材だと、
真っ先に「辞めてもらっちゃ困るな」と思ってしまいがちですし、
それはある意味正しい反応です。

しかし、スタッフが独立を
目指すことは一概に「困ること」ではありません。

なぜなら、彼らには
「将来の独立を志しているスタッフ」だからこその強みがあるからです。

それは何でしょうか。

一般的に独立開業を目指すようなスタッフは、

・技術力の向上に余念がない

・経営やマーケティングについても
 積極的に学ぼうとする

・マネジメントにも興味を持つ

など、総じて自らの能力の向上に貪欲である場合が多いです。

数年後の将来、自分が経営者となって
治療院を経営することを具体的にイメージすれば、

出来る限り貪欲に学ぼう向上しようとするのは当然のことですよね。

つまり、「独立を志すスタッフ」は
他と比較してもデキる人材になる確率が高いし、

スキルを早く向上させるために本気でとても前向きな姿勢で施術に当たってくれます。

こういった「やる気」や「向上心」は、他のスタッフの刺激にもなりますし

治療院全体の雰囲気の活性化にも
つながりますので、治療院にとってプラスになることも多いのです。
【むしろ治療院経営に組み込んでしまう】

どんな職場でもスタッフの退職は避けられないものです。

それは一般の会社でも治療院でも同じです。

それなら、
むしろ「非常に前向きな姿勢」である『独立予備軍のスタッフ』には、
その前向きさや能力を最大限現場で活かしてもらえばいいのです。

■他よりやる気や能力に優れた人材なら、治療院にいる間の貢献度も高い
もともと即戦力の人なら別ですが、現場に出始めた新人からスタートした
スタッフであれば、独立開業のために退職するまで早くても数年はかかります。

仮に将来的に辞めてしまうスタッフであっても、

そもそも高い技術を身に付けようと日々努力し、
経営やマーケティングも研究し、人材育成などにも積極的なスタッフなら、

たとえ数年間の所属期間であっても、治療院にもたらしてくれる貢献度は高いはずです。

最初の数年は本人が育つ期間ですが、慣れてきて一人前になれば、
後輩の育成やマネジメントにも熱心に取り組んでくれる可能性が高いです。

結果、治療院として非常に戦力になるスタッフになってくれます。

「スタッフは育って巣立つもの」

というくらいの意識を最初から持っていれば、

むしろこうした
「独立予備群のスタッフ」の貢献度を前向きに活かすことが出来ますよね。

 

■分院展開をしている治療院なら分院長という活かし方もある
スタッフ本人が完全に独自の独立開業を目指している場合は難しいですが、

そこまで別組織へのこだわりが無い場合は、
“のれん分け”して分院長という形で活躍してもらうのも有効です。
まず、「分院長」という形は治療院グループとしてスタッフに
キャリアパスを提示することにもなりますので、スタッフ全体の
モチベーションの底上げにもつながります。

また、本院(院長)としても、自分のところで育った
よく知る分院長を得ることができる。

そして、スタッフ本人にとってもゼロから開業をするより大幅にリスクを
下げつつ自分の治療院を持つことが出来る。

治療院側にも、独立を志すスタッフにも、
成長途中の他のスタッフにも、全ての者にメリットがある活かし方です。

【能力が高くても独立しないスタッフもいる】

とは言え、全ての能力の高いスタッフが
独立開業を志しているというわけではありません。

こんなに能力が高いなら、自分が院長になればいいのに、
このスキルなら独立できそうなのにというスタッフさんをたまに見かけませんか?

重要な判断も出来て、下のスタッフをまとめながら仕事が
スムーズに進むような差配もしつつ、きちんと利益も出す。

実はこういった能力が高いスタッフでも皆が皆、独立を目指す訳ではないのです。

能力が非常に高いのに敢えて
自ら独立しようとしない理由で多いのが次の3つです。

1.そもそも独立開業に興味がない

2.人として社長や院長(の技術や人柄)に
 惚れ込んでいるので一緒に仕事がしたい

3.待遇がよい
(=給与などで今の働きが十分評価されていると感じる)

1や2は個人差が大きいですが、3についてはどの治療院でも
対応することができることです。

もし、

「このスタッフはどうしても手放したくない」

と思うような能力の高いスタッフがいて、
本人に強い独立志向がない場合は、

給与や福利厚生などで本人の能力をきちんと評価し、
その評価がスタッフ本人に伝わる工夫をすることで、

長く治療院で働いてもらうことも可能なのです。

しっかりとトップの想いを伝え続ける努力をする、ということです。

独立を目指すスタッフは、
必ずしも治療院にとって「困った存在」ではありません。

在籍期間中に高い貢献を
してくれるなら、とても貴重な戦力ですし、

治療院全体の活性化などをもたらしてくれるので影響も大きいです。

また、能力が高いからといって
全てのスタッフが独立のために退職をするわけでもありません。

分院長などのキャリアパスを作る、評価をきちんと給与などに反映させ
待遇に満足してもらうなど出来ることはいくつもあります。

何にしても、
スタッフがずっとここで働きたいと思ってもらえるよう、

スタッフ個々の特性を把握しつつ、
スタッフの将来をしっかりと応援していける土壌を作っていけば、

突然の離職による独立開業を考えることはあまりないでしょう。

スタッフの独立(退職)について
院長が悲観的にならない考え方を持って頂ければと思います。

 

本日もお読みいただきありがとうございました。

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執筆者一覧

斉藤隆太

年商1億円を最短で達成した治療院オーナー兼コンサルタント

田村剛志

指導実績10,000人。日本屈指の治療院コンサルタント

受付は見た!司会:鈴木

受付ならではの視点から見えてきた、治療院経営、強いチーム作りのヒントをお届けします!!

スタッフに訊く!司会:斉藤隆太

院長不在の状態でもスタッフ一人一人が成長し続ける組織作りのノウハウをお伝えします!